ウスパルタ県のヤルワチへ トマトペーストが沢山
コンヤのベイシェヒールからウスパルタ県のヤルワチにやってきた。
ベイシェヒールの役所の方と食についての話をしている時に、ヤルワチという町が出版した郷土食の本を見せてもらった事がきっかけとなり、目的地を急きょ変更。
遊牧人ならではだなー。感覚を使い、行き当たりばったりで方向を決めた。そういう感覚で選ぶ旅は、もっぱら何か楽しい事が待っている。
何か新たな発見。そんなワクワクした予感でヤルワチへ訪れた。
ホテルに着いてから街を散策すると、市場が開かれるような大きな場所に大きなトラックが2台とまってた。
トマト売りらしい。商売人の男たちが県外から持って来たトマトをここで売るのだと言う。数日前から来ていて、あと残り数箱を残すのみとなった。
このトマトはトマトペースト用で、その場に居る時も娘と母親がやってきて、数十キロをまとめ買いしていた。
買ったトマトを持って帰れないので、どうするのか?
すると、おじさん達の中に馬車曳きがいて、馬車にトマトをのせて家まで運んでくれる。もちろん有料だけど。
大きな広場では、広い土地を利用してトマトペーストの水分を抜くため沢山置かれていた。
水分が多いうちは、このようにレースカーテンなどを使って虫が入らないようにして、水分を抜く。
ある程度抜けたら、トレイに移して混ぜながら最後の水分を抜いていく。ここまできたらもう完成だ。
ここまできれいな天然の赤いペーストを見ると、作りがいもあるだろうなと思う。鮮やかな赤で見ているこちらも元気が出るし。
その他にはドライトマトもあった。水分が多いトマトを乾燥させるには気温もかなり高くないといけないし、空気も乾燥していなければなかなか出来ない。
トルコのすべての地域で乾燥トマトが出来る訳じゃない。夏に乾燥させることのできない地域もあることを考えると、ペーストが手作り出来るのは有利だな―。まあスーパーで買える時代だけど、手作りが出来る出来ないは彼女たちにとっては大きいなーー。
日本で言うところの味噌か醤油のような食材だから、手作り出来るのは羨ましい。発酵させたりと手間はそんなにかからないからだけど、それでも手作りされてるってことは、まだまだトルコ料理そのものが家庭料理として定着してるってこと。
昔は実家でも味噌作りしてたし、今じゃ既製品を買うばかり。
昔とは食のスタイルが変わってきた日本とは違って、まだまだトルコにはスタイルが変わっていない地域もある。
家庭で手作りがどれだけ残っているかによって、その食文化がどれだけ家庭に定着して、ゆるぎないものになってるかが分かるなー。
日本はいろんなものを取り入れ過ぎた半面、失ったものものも大きい。例えばただ単に既製品を買っている味噌にしても、ただ使うっていう感覚をもう一度見直して、どうなって味噌が作られるのかとか、もう少し日本食の文化を再発見する時期にもなってると思うなー。
トルコのような外からの食文化を取り入れ過ぎない形は、かなり保守的で開けてないように思う時もあるけど、大事な一面も僕らに示してくれている事も事実。
いろんな新しいものを作ったり取り入れたりするのも大事だけど、失ってはいけないものはねー、それだけは。混ぜこぜにしないようにしないと。