タルハナ作り・パート3
さあ、タルハナ作りがはじまるぞーー。
家から奥さん、妹、娘さん、孫たち、近所の奥さん方が一斉に集まってきた。
そこには男性陣はいない。僕と仲介人に買ってくれたおじさんのみ。
おじさんのお陰でその場の空気も和み、娘さんや近所のおばさんは、外国人がタルハナを調べに来たというので、とても楽しんでる感じで、「写真を撮るのだったら、私を撮って!」とまで。
写真嫌いな人が多い中でも、好きな人もいるのもトルコ。
そういう人はこちらとしても助かる!
タルハナを作る準備が出来ると、大きな釜にヨーグルトを水で薄めたものを加えて火を入れた。温めて程良い温度になったら塩を加え、その後女性陣が順々に挽き割り小麦を投入した。
挽き割り小麦には砕いた時の小麦の粉も入ってるから、ヨーグルトとまざると粘り気も出てきて、徐々にかき混ぜるのも大変に。
そうなると、一人ではかき混ぜる事も出来ないので、こうなれば二人で!
女性陣は強い! 男性陣はどこへ??
仕上がると、このように棒を立てた。
日本では縁起悪そうだけど、、。トルコではそんな迷信はないし、大鍋で作ったタルハナを早く冷ますために棒を立てて、鍋の下にある熱をこれで逃がすのだとか。
なるほど、なるほどーー。
おばさん達が小走りに家から皿を持ってきて、タルハナを盛り付けた。
バターをのせると、
「はい、これは新鮮な柔らかいタルハナなの。これはタルハナを作る時にだけしか食べられないものよ。あなたはラッキーね。どうぞ召し上がれ!」
と差し出してくれた。
保存食を作る時にだけ食べられる、”熱々のタルハナ”かーー!
プチプチとした玄米の食感に似た小麦とヨーグルトに火を入れているからだろう、濃厚なチーズの味がする。チーズ粥と言った方が味を説明しやすいかなーーー。
バターはそれにまろやかさを与えてくれる。
たっぷり盛られたタルハナに「こんなに食べれない!無理!」って言ったけど、程良い塩気とチーズっぽい癖になる味で、あっというまに平らげてしまった。我ながらびっくり。
この時にだけしか食べれないものと言われると、昔祖祖母が豆腐を作る際に出る熱々の豆乳をこっそり砂糖を入れて飲んでいたな――と、ふと頭をよぎった。
あの時も、あのチャンスを逃すと飲む事は出来なかった。
あの豆乳の味はいつまでも舌にも、心にもワクワクした感情と一緒に残ってる。
懐かしい思い出が一気にフラッシュバックした。
どこの国でも一緒だなーー。そういう想いも、出来事も。
そういう共通した暮らしぶりが垣間見れる事で、トルコと日本の食文化に違いはあっても、身近に感じることが出来た。
人間が携わっているから当たり前なのだけど、そこに普遍的なものを感じずにはいられなかったなーー。