トルコ料理紀行 ~全土制覇へ!食探求の旅~

トルコ料理を紐解く旅に出かけた。トルコ中をくまなく旅し、食べまくり、触れ合いのなかでトルコの食を探し求めていく。

ブルダン名物・グリーン野菜のピデ

 

デニズリ中心では、あまり郷土料理的なものはあまり触れることが出来なかった。

市役所の文化課の担当者との話の中で、ブルダンという町を紹介された。

どこかデニズリの中でも地方へ行ってみたかったので、とてもいい機会になると思い、決断。

 

デニズリの地方と言っても、東西南北あるし、その地方によっても特色が違いわけなのだが、それを言い始めるときりのない話になる。

 

いつものように旅のご縁に従い、デニズリの西部のブルダンへ。

ここは西部のアイドゥン県に近く、よりエーゲ海の特徴を持つ。

 

f:id:Food_trip:20130815171750j:plain

バスターミナルから中型バスで1時間程。

道中にはブドウ畑が多くみられ、収穫し、大型トラックに積み込んでいる光景も目にした。

デニズリはワイン工場もある事から、多くのブドウが栽培されているのも納得がいった。

 

西側に大きな山を背にブルダンはそのふもとにある、とてもこじんまりとした町。

ここは綿を糸にして、機織り機でタオルや生地にする地としても有名なのだそうだ。

綿100%の服やハマム(トルコ風呂用の腰巻)などを売る店が軒を並べている。

 

デニズリにいる20年来のトルコ人の友人アザッドも、ついて来てくれ、一緒に昼ご飯となった。

現地の人に聞くと、オトゥル・ピデが名物というので、早速店へ向かった。

f:id:Food_trip:20130815183358j:plain

オトゥルとは、グリーン野菜の総称ともいえる。

夏のこの時期にはフダン草をメインにして、エベギュメチ、青ネギ、ポロネギ、パセリに卵、2種類のチーズを混ぜて具を作る。冬はホウレンソウがメインだそうだ。

f:id:Food_trip:20130815184321j:plain

昼時で、テイクアウトの注文と、店内、配達も含めて大忙し。

職人が手分けして一気に数百のピザを作り上げる。

具をピデ生地において、両サイドをふさぎ焼く。

f:id:Food_trip:20130815184636j:plain

 きつね色に焼きあがった、見事なオトゥル・ピデ。

 見た目と天然バターのあまーーい香りに、食欲も一気に増進。

 

 外はパリパリ。具も野菜だけながら、物足りなさも感じないし、手と口は休む暇がない。

 ホウレンソウと玉ねぎ、チーズ、卵のピデはあっても、4,5種類グリーン野菜が入っているのは、今まで見たこともなかった。

 肉がなくても、野菜をふんだんに使えるエーゲ海地方ならだろう。

 

 

 アザッドがゴマペースト入りのピデをデザートに食べようというので、それにも挑戦。

f:id:Food_trip:20130815190138j:plain

 ピデ生地にもペーストと油を加えて練りこんで、平らにした後にも表面にもべっとりと塗る。

 

 焦げ付くから、新聞紙の上にのせて窯へ。

 

 

f:id:Food_trip:20130815190905j:plain

 すると、ペーストの表面が小さな気泡でいっぱい。

 熱々加減が伝わってくる。

 

f:id:Food_trip:20130815191354j:plain

 仕上げには、たっぷりの蜂蜜と砕いたクルミが。

 食べやすいように、ひし形に切ってくれているのもありがたい。

 

 僕はすでに激甘だとされるバクラワも美味しいと感じているし、激甘に見えるデザートもうまそーーーと思えるようになってきている。

 

 

 では早速一口!

 

 こ、これはーーー。

 

 ターヒンリ・ピデランキングで、初出場で初のトップに!

 こんなにバランスの取れたピデに出会った事がない。

 

 クルミと蜂蜜が惜しげもなくかかっていて、

 カトメル状になったピデ生地の食感が残っている。

 ゴマペーストも熱を入れることで、きな粉のような香りと味に。

 きな粉餅を食べているようで、とても親近感を感じながらも質の高さに感服。

 

 砂糖なしのチャイと共に食べるターヒンリピデは別腹だった。

 

 今でもこの味を思い出すと恋しくなる。

    Tadı damakta kalsınという言葉通り、味は口蓋で残るように!

    

 トルコでの当たり飯は記憶に残る。

 やはりそれは職人の努力によるもの。

 

 ブルダンを選んで正解、選ばせてもらえて幸運。