乾燥させた茄子の皮でドルマ~ブルダンの結婚式の準備~
ブルダンを散策していると、乾物屋さんに良く吊るされているのが、乾燥茄子。
トルコの内陸部は乾燥しているので、茄子の中をくり抜いて乾燥させ、保存食として冬にドルマ(詰め物)を作って食べることはよくある。
しかし、ここブルダンはピーマンやズッキーニよりもはるかに多くの茄子が吊るされていたので、すぐに疑問符が頭の中を巡った。
偶然通りかかった店の前で、大人数の料理の準備をしていたので、伺ってみると、
明日の結婚式の為にケータリングの準備をしているとのことだった。
つまり、結婚式用の料理をこのお店がすべて賄う事らしい。
何を作るのだろうか?
メインのケシケキ(麦粥)と漬物、デザート、スープ、ひよこ豆の煮もの、そして乾燥茄子を使ったドルマだという。
どうやらブルダンでは大勢集まった時の食事の一つに茄子のドルマがあるという。
それで茄子の需要の多さがわかった。
だから乾燥なすが以上に多く吊るされているわけだ。
夏だから新鮮な茄子でもドルマは作るのだが、大人数を作る場合、乾燥させて、くり抜いてあるものの方が、型崩れもしにくいし、作るのが簡単だからだそう。
乾燥茄子を一度茹でて、柔らかくした後、紐から外し、水を切る。
そこに米を洗い、数時間浸けて水切る。
そこへパセリ、黒コショウ、赤唐辛子、塩、予め炒めておいた羊の挽肉とトマトペーストを混ぜたものを合わせる。
具の用意が出来たら、後は茄子に詰めていく。
すると、店にどんどん婦人たちが入ってくる。
オーナーの妻、親せき、近所の婦人があつまり、一斉に茄子にお米を詰めていく。
大量の具を詰めるのに、時間がかかるなと思ってはいたけど、そんなのはトルコでは心配ご無用。
トルコでは人海戦術があった。
2時間程で何と1300個程のドルマを作った。
詰めたものをこうして大きなトレイにきれいに並べていく。
具が多いだの、少ないだの言いながら、
すぐに話は切り替わり、家庭の愚痴を言い始める。
すると、また話は変わり、電化製品の話など、、、。
2時間の間に婦人たちの話は、あっちこっち。
それでも、たまには僕ら夫婦の話をしながら、ついに2時間で詰めてしまった。
翌日朝に火を入れるので、今日はこれで終了。
翌日11時には食事の用意を完璧にするため、逆算して順々に鍋に火を入れていく。
トマトペーストを入れた水を入れて、一気に炊き上げること40分。そして弱火で蒸らす。
続々と結婚式に参列者がサロンに入ってくる。
各種料理を1種類ずつ並べていく。
僕らもお客さん扱いになり、食べさせてもらうことに。
茄子の皮だから、そんなに茄子の味を感じるほどでもないが、茄子の皮独特の食感は感じることが出来る。
お米に混ぜられた挽肉がしっかりと旨みを出している。
トルコでは結婚式には何人来ても構わない。
僕たちのような行きすがりの外国人でさえも歓迎される。
立派な料理というよりも、心から作った料理を、多くの人と分かち合うことが一番大事。同じ食事を食べて、祝福を共有することが大事。
そういう点では、参列者が決まっている日本の祝い事よりも懐が深い。